倍々の法則で増えていく数字は、しばしば直感とずれている。
前にも書いたけど、2倍になるのを繰り返すと、33回で80億を越える。
この例は、数字として大きすぎてピンと来なかったかもしれない。
もう少し想像しやすい例で考えてみよう。
例えば、厚さ1mmの大きな紙があったとしよう。
その紙を、半分に折って、さらに半分に折って…という具合に、10回折ったとすると厚さは何ミリになるか?
答えは、1024mm。すなわち、1メートル(と2.4cm)になるのだ。
ちなみに、33回折り返すと、8,000kmを越える。東京からサンフランシスコぐらい。
あっという間にピンとこない数字になってしまう。
見ての通り、わずかな数字でも、倍々ゲームで増える場合、すごいことになる。
私が言う「倍々の法則」「倍々ゲーム」は、数学的には「ねずみ算」とか「指数関数」と呼ばれる。
指数関数があっという間に膨大な数になることを、数学が好きな人や仕事で数学を使う人(研究者や技術者)は、肌で感じている。
とはいえ、指数は中学の頃、すなわち義務教育で習ったように記憶していた。
義務教育の内容なのだから、誰でも考えれば解るだろうと思っていた。
昨日、帰りの電車の中で、指数やその仲間の対数は、いつ頃習ったんだろうと調べてみた。
なんと、対数は高校になってから習うものだった。そう言われれば、だんだん思い出してきた。
対数まで学ぶと、指数についての感覚がより良くなる。
今の若者の多くは大学まで行っているが、昔は中卒で社会に出る人も少なくなかった。
(私自身も経済的事情で、中卒になりそうだった)
そう考えると、解らないのが普通なのかもしれない。
上記では、厚さ1mmの紙を折る事を考えた。
この場合、折り返すたびに、厚さが2倍、2倍になっていく。
この「2」が「底」と呼ばれる(対数では)。
折り返す回数が少し増えるだけで、数字がすごいことになっていたけど、この底が少し大きいだけでも数字の増え方はすごいことになる。
例えば、3倍、3倍になっていく場合、10回で 3
10=59,049 という数字になる。
2の時は10回で、2
10=1,024 だったので、50倍以上違っている。
伝染病の患者数の増え方も、基本的には指数関数になる。
もちろんCOVID-19の患者数の増加もそうだ。
変異株は、1.6倍の感染力と言われている。
これは、底が1.6倍になるようなものだ。
第三波のあたりから、「実効再生産数」が注目されるようになった。
これは、1人の患者から何人に感染が広がるかを示す値だ。
この数字がわずかに変わるだけで、一喜一憂していたことを思い出してほしい。
たとえば、底が1.1のときと、1.6のときとでどれくらい変化が違うかをグラフで示すと…。
青色が1.1のときで、
赤色が1.6のときだ。
「
1.1」に比べて、「
1.6」は、おおよそ1/5の回数で、振り切ってしまっている。
別の言い方をすると、5倍速いと言える。
1.1と1.6は大して違わないと思っていると痛い目にあう。
5倍は、こわひよー😭
ただし実際の世界では、感染者が増えたり、毒性が高いと聞けば、誰もがより注意深くなる。また、「
働きアリの法則」に見られるように、実際に感染拡大の主要な働きをしているのは全体の2割であり、それらが飽和すれば増加は抑制される。その他様々な条件があり、患者数の増加は単純ではない。
1.6倍の感染力と言われ始めたのは、
まだ去年の頃だった。
さらに、1月になると東京で渡航歴の無い10歳未満の子供から、イギリス型変異株が検出されたという
ニュースが流れた。
そして、埼玉県でも10歳の子供の変異株検出が相次いだ。
最初に聞いた時に背筋に冷たいものが走った。
子供たちは、小学校へ行っている。低学年がしっかり予防できるとは思えない。
怖がらせるつもりはないので、
前の変異株の記事は、細かく書かなかった。
でも、以前と大して変わらないと思っていたら、すごいことになる。
埼玉もまん延防止措置(省略すると「さいたまんぼう」😁)適用の要請をしたそうだ。
今までどおり、マスク&手洗いの徹底に勤めれば、怖がる必要はない。
とにかく、油断大敵。締めてかかれ。