2018年5月20日日曜日

シルクスクリーンを自作してみよう

この記事で、少しだけ話したTシャツのシルク印刷について。
まだ途中の実験段階であるが、Step by stepで、少しずつものになってきている。

以前から、自分でTシャツを作ってみたいと思っていた。より厳密には、Tシャツを作るわけではなく、Tシャツに自分で作った図柄を印刷したいと思っていた。
以前、Cebuへ頻繁に遊びに行っているとき、日本で作るよりも明らかに安かったので、現地のTシャツプリント屋さんで何回か作った。
自宅近くにもTシャツプリント屋さんはあるのだが、値段が高すぎる。また作ってみたいと思いながらも、そんなこんなで、国内では作ったことがない。

ある時100円ショップに売られていたUVレジンを見ているとき、ふと「これを使えばシルク印刷のためのシルクスクリーンが作れるのではないか?」と、思いついてしまった。
馬鹿な事だと思いながらも、思いついてしまったら、それに挑戦したくなるのが技術者の性だ。
挑戦してみることにした。

基本的には、強い繊維で織られたメッシュ生地に、UVレジンを塗り、シャドウマスクを使って、固まらせたい場所だけにUV光が当たるようにする。
その後、固まっていない部分を除去すれば、シルクスクリーンができる。
なんて、口で言うのは簡単だが、実際にやるとなると、色々考慮すべき事がたくさんある。

UVレジン硬化前はベタベタ液体であり、UV硬化後に個体になる。そして、硬化後は、接着剤のようにガッチリくっついてしまう。
平坦にするには、何かで押さえればいいのだが、押さえて硬化させた後、きれいに剥がれないといけない。
また、硬化させなかった部分のベタベタ液体をきれいに除去する必要がある。
これらをまとめると、考慮すべき点は以下のような感じ。
  • どうやって、シャドウマスクを作る?
  • 露光後、どうやってシャドウマスクを剥がす?
  • どうやって、平坦にする?
  • どうやって、露光する?
  • どうやって、固まっていない部分を除去する?

まず、固まっていない部分を除去する方法を考える。除去できないなら、他の問題を全部解決出来ても意味がない。
思いつく簡単な方法は、水洗いだ。
しかし、UVレジンは水で流れるのか?水で洗えるUVレジンを探したら、近所のユザワヤで「水溶性UVレジン」というのが見つかった。

ただし、少しばかり値段が高い。たっぷり65gなのは良いが、2,700円。10gで500円くらいのパッケージがあればいいのに。

ユザワヤへ行ったついでに、メッシュ生地を探した。「テトロンメッシュ」が良いらしいのだが、近所のユザワヤには無かった。
その一週間後、ダイビングの時に、ダイビング仲間の帽子屋さんに相談してみた。一応、アパレル業界なので生地の知識もあるだろうと思ってのことだ。
すると、「テトロン」は「ナイロン」のようなもので、メーカがそういう名前にしているだけということを教えてくれた。
添加物等で、テトロンのほうがより強靭かもしれないが、目的が達成できればいい。ナイロンも充分に強い繊維なので、後日またユザワヤへ行って、ナイロンのメッシュ生地を買ってきた。
気にし過ぎかもしれないが、ユザワヤは女性が多いので、私のような大男は居心地が悪い。
あまりじっくり見ないで、「これでいいや!」的に選んで、1mの長さで買った。帰宅後にレシートを見ると「114ポリエステルオー @540 x1.0 ¥540」と書いてあった。この生地の機能・特性かはわからないが、とにかくこれにした。

毎週のようにユザワヤへ行っていたが、同時にシャドウマスクづくりも行っていた。
PCで絵を書いて、印刷すれば、シャドウマスクにはなる。
しかし、UVレジンに接している状態でUV光を当てて部分的に硬化させるので、硬化後きれいに剥がれないといけない。
それを考えると、紙に印刷するわけには行かない。
「A4クリアフォルダ」は、ポリプロピレンでできている。ポリプロピレンをまともに接着できる接着剤は、いわば存在しない。たとえUVレジンを含めエポキシ樹脂、エポキシ接着剤を使っても、がっちり接着できない。
実際にクリアフォルダの上に、UVレジンを垂らして硬化させる実験をした。硬化後簡単に剥がすことができた。

このクリアフォルダを、A4サイズに切り抜いて、そこに印刷すれば良い。
何も接着できないなら、印刷も乗らないかもしれない。
ウチのプリンタはレーザショットだ。試しに印刷してみた。

(この図柄は、以前遊び半分で書いたもので、深い意味は無い。手元にあったので使っただけ)

ちょっと触るくらいなら、落ちない。
ただし、どうしても熱で曲がってしまう。トナーを定着させるために、加熱しドラムに沿わせるのでどうしても巻いてしまうのだ。
液体や生地のような変形しやすいものを平坦な形に維持しなければならないので、なんにせよ平坦に押さえる必要はあるのだ。平坦にする方法が見つかれば、シャドウマスクが多少巻いていても、問題はない。

平坦にするためには、何かで押さえないといけないが、光を遮ってしまったら、硬化させることができない。
また、押さえるためには、ある程度の固さが必要だろう。そのため、最初のうちはガラスのようなものを使うことを考えていた。
しかし途中で、空気で押さえることを思いついた。

上記写真のように、大きなチャック付きビニール袋を用意し、袋の下の方から掃除機で空気が抜けるようにする。
このチャック付きビニール袋は、IKEAに行った時、何かに使うかなと思って買っていたもので、大きすぎて使っていなかったものだ(貧乏根性で、なんか勿体無くて使わなかったというのもある)。 袋の口から、堅いアルミ板を入れて、掃除機で空気を抜くと、大気圧でビニールがアルミ板に密着し平坦になる。
写真のアルミ板には、マスキングテープが多数貼り付けてあるが、これはラップを固定するためだ。
見えにくいが、このアルミ板の上には、食品用のラップが貼ってあるのだ。
UVレジンをそのままアルミ板に広げて硬化させてしまうと、かっちりくっついて剥がれなくなる。
それを避けるために、食品用ラップを使った。ラップの材質は様々なので、VUレジンにくっついてしまうものもある。
ここでは、私は「NEWクレラップ」を使っている。
また、アルミ板の角がチャック付きビニール袋に刺さらないように、角にビニールテープを貼っている。

これらを使って、固まる時間を計ったりしながら、何度か実験を繰り返した。
最初の数回は、UVレジンだけで時間を変えながら硬化させ、適切な時間を計った。
その後、最初にシャドウマスクを使った実験の結果が、以下だ。

間に生地が挟まることで、表側と裏側で、固まる速さが微妙に異なる。そのため一部は剥がれてしまった。
また、UVレジンに泡が混ざり、虫喰い穴のような穴ができている。

枠を付けて、露光時間も45秒まで伸ばした結果が以下。

今度は固まりすぎて、一部の黒い部分も固まってしまった。
小さな文字の部分が、抜けているようにも見えるが、実際には抜けていない。
それでいて、泡も残っていて、穴になっている。

次は、30秒でやることにする。また、光が回りこんだのかもしれないと思い、UVレジンに赤い色をつけることにした。
赤い色は、緑や青の光を吸収するため赤く見える。紫外線は青の外側の光なので、赤い色素が吸収するかもしれない。そうなれば回り込みも抑えられるだろう。この記事の方法で、赤い水性ボールペンからインクを少し出して、それをUVレジンに混ぜて使用した。
シャドウマスクを配置するときも空気が残らないように細心の注意をして行った。

2〜3箇所泡が残ったが、かなりうまく行った。

このシルクスクリーンを使って、走り込みをするときのロンパンに印刷してみた。

見ての通り、白いインクを使った。乾いた後でアイロンで2分温めて定着させた。
もう少し練習したほうが良いけど、なんとかできた。

構想から一応の完成を見るまで、3週間程度かかった。
ここでは書いていない実験もたくさん行っている。
どうしても自作したくなったので、やってしまったが、Tシャツのプリントをするなら、「Tシャツくん」を使ったほうが明らかに楽だし、お金も時間もかからないように思う。

将来、もう少し詳細な内容をまとめ直すかもしれない。

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