およそ30年前。
まだ学生だった頃、常温核融合のニュースが世界を飛び交った。
まず、核融合についておさらい。
原子核同士を近づけていき、ある限界を超えると原子核が融合し、別の核種に変化する現象だ。
融合する時に、熱が発生する。
原子核を近づけると言っても、原子核はプラスの電荷をもっているため、クーロン力で反発し合う。そのため、核融合が起きるほど近づけるのは困難だ。
太陽で起きている核融合は、高温高圧の環境のため、狭い範囲で原子核が激しく動き回り、クーロン力に打ち勝って衝突する。
その環境を地球上で再現するのは、非常に難しい。
常温核融合は、水素吸蔵合金として使われるパラジウムを使う。
パラジウムは、液体水素よりも高密度に水素を吸着する。
そのため、非常に狭い範囲に水素原子が集まることになる。
それらが何かのきっかけで、核融合を起こすという説だった。
30年前、追試が行われたが、現象が再現できず「エセ科学」扱いとなった。
そのため、普通の研究者が手を出すと、研究の場から追い出されるようなタブー扱いになっていた。
ごく一部の人はそれでも研究を続け、十数年前に「新たな知見が得られた」というニュース記事を読んで、某大学の大学院で過去に化学をやっていた知人に話したら、「常温核融合について話すと、研究者人生を捨てることになる」と言って、聞こうとはしなかった。
科学者にとってダブーであることは解っていたので、それ以上話すことをやめた。
(ちなみに、私は技術者だから話すぐらいなら問題ない)
紆余曲折あったが、その後も研究は進んでおり「量子水素エネルギー」と名前を変えて、成果が出始めている。
(詳しくは、検索してみて)
いつのまにやら、すごいことになっていた。
実用化されれば、エネルギー問題を一気に解決することになるかもしれない。
そうなれば、世界が変わる。
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