2021年6月19日土曜日

Ubuntu18.04 で動画にモザイクをかける

誰もが何気なくスマホで動画を撮影する。
スマホ(携帯やガラケーも含めて)にカメラが付くようになったのは、auが最初だったと記憶している。
(あの頃のauは、なんかワクワクした)
今では、カメラが無かったなんて信じられないくらい、当たり前になっている。

人が多いところで動画を撮影すると、後ろに人が写り込んでしまう。
個人で鑑賞するぶんには問題ないが、それを公開するのは個人情報の保護の観点から注意するべきだろう。

というわけで、TVの映像のようにモザイクをかけたい。
Ubuntu 18.04(未だにBionicかよ!)でも、動画編集アプリshotcutを使って動画にモザイクをかけることができる。
たとえば、このブログの「武蔵浦和西口駅前K's電気跡地の再開発工事#2」などでそのようにしている。
その方法を説明する。

ちなみに、ここで紹介している方法の多くはfocal(20.04)でも使えるだろう。
ShotCutを入手する

Ubuntu 18.04 では、snapを使って入手する。
ソースからのビルドも試みたが、難しかったので諦めた。
focalでは、apt-getでも入手できるようだ(このBudgie 20.04で確認)。
ただし、apt-getで入手できるのは、現時点では少し古いようだった。これは時間経過と共に徐々に変化していくだろう。

snapでshotcutをインストールするには以下のようにする。
$ snap install shotcut
これでshotcutが使えるようになった。

モザイク適用の概要

モザイクの適用は、「モザイク」フィルタにより行う。
動画に単純にモザイクを適用すると、動画全体に、時間的にも画面領域的にも全体にモザイクがかかってしまう。
そのため、モザイクの適用範囲を制限しなければならない。
  • 時間的には、タイムライン上で動画を分割する。

  • 画面領域的には「切り抜き」フィルタを使う。

切り抜きフィルタを使うと新たな問題が生じる。
動画が一部だけになり、他の部分が表示されない。
これに対処するために、動画をコピーしておいて、元の画像の上に切り抜いたモザイク画像を重ねるようにする。

「なんだ簡単じゃん。」と思っても、言うは易し、行うは難し。
例として、「Kalitaコーヒーミルを電動工具で駆動する方法」で使った動画の1/4"のナットを、モザイクにしてみよう。
以下で説明していく。

ブロジェクトを作る

shotcutで動画を編集するには、プロジェクトを作って行う。
こだわり度にもよるが、やり直すかもしれないし、使ったフィルタ等の設定を後から見直すかもしれない。
とにかくプロジェクトを作ろう。
shotcutを起動すると、以下のような画面が表示される。
起動時、画面の中心のペインが「新規プロジェクト」になっている。
「プロジェクトのフォルダ」で、プロジェクトフォルダを作るダイアログが表示される。そこで、フォルダを作る。すでにフォルダがあるなら、それを選択する。
「プロジェクト名」を"CoffeeMill_mosaic"とした。
その下の「開始」ボタンをクリックすれば、プロジェクトでの作業が始まる。


元動画ファイルを開く

画面左上の「ファイルを開く(O)」をクリックする。
ファイルダイアログが表示されるので、元の動画を開く。
上記例では、"CoffeeMill2.mp4"を選んでいる。
ファイルを選択して、「開く」をクリックする。

以下のように、中央のペインで動画の再生が勝手に始まる。
動画の下の「||」ボタンで止める。


タイムラインに動画の一部を取り込む

中央のペインで、取り込む動画の範囲を調整する。
動画の下のバーの両端の「▶|」と「|◀」 を調整して範囲を決める。
調整したら、下の方にある大きな「+」記号をクリックして、取り込む。
下の「タイムライン」に動画が取り込まれる。


トラックをコピーする

概要で述べたように、モザイク処理は、元の動画にモザイク化した画像の一部を重ねることで行う。
そのため、まず同じ動画のコピーを作成する。
トラックの左端のカラムを右クリックするとポップアップが現れる。
「トラックの操作」→「映像トラックを追加」をクリックする。
新たな空っぽのトラック「V2」が作られる。

トラック「V1」の動画部分をクリックして、選択されている状態(細い赤枠で縁取り表示される)にする。
この状態で右クリックして「コピー」を選ぶ。

次に先程追加した「V2」の何もないところをクリックする。 この状態で、中央の動画の「|◀」ボタンをクリックし、「再生ヘッド」を先頭に戻しておく。
メニューから、「編集」→「貼り付け」を選ぶ。
これでV2にコーピーが入る。
トラックの表示をみてもピッタリあっている。

うっかり、再生ヘッドを先頭にせずに「貼り付け」をすると、ずれた位置に貼り付けられてしまう。
この場合、動画をクリック&ドラックして前にもってくればいい。

説明が妙に長いが、やっていることはトラックのコピーだ
それを意識してやれば、そんなに難しいことでもない。


V2の音声をミュート

このままでは音声まで2重に入る。
不要なので、ミュートする。
V2のスピーカー アイコンをクリックする。


モザイクをかける時間範囲を切る

V2上で再生ヘッドを移動させながら、モザイクの範囲の最初と最後で、分割する。
以下は、モザイクの開始部分で分割をしているところ。
1/4"ナットが現れる先頭に再生ヘッドを移動して、「再生ヘッドで分割」ボタンをクリックすると、上記のようになる。

それ以外の部分は残しておいてもいいが、削除してしまっても良い。
私は削除している。


モザイクの画像範囲を切り抜く


画像の一部を切り抜くには、「切り抜き」フィルターを使う。
画面左側のペインのフィルタタブをクリックして、「フィルター」を表示させる。
その後、上記「+」をクリックするとフィルタの追加になる。

上の「映像」ボタンをクリックして、その下の一覧から、「切り抜き:四角形」をクリックする。
これで切り抜きができる。

フィルタをかける動画の先頭を表示させると、中央の動画表示に白い四角い枠が表示される。
この四角い枠は、四隅の白い部分をクリック&ドラッグすると範囲を調整できる。
調整して、ナットをつまむ指だけにした状態。
下のタイムラインもよく見てほしい。この操作は動画の先頭で行っている
以降、ナットの移動に合わせて、モザイクの範囲をずらしていく。

また、切り抜き範囲外が真っ黒になっている。
これは「内部余白の色」が黒になっているためだ。
以下のように、切り抜きフィルタの「内部余白の色」の「透明」ボタンをクリックする。
これで、V1の画像が透けて見える。


モザイクをかける

モザイクフィルタを追加する。
まず、再度フィルタの「+」ボタンを押す。

今度は「映像」「モザイク」とクリックする。
「切り抜き:四角形」フィルタに加えて、「モザイク」フィルタも適用される。


ナットを追跡する

動画の中のナットは動いているが、モザイクの範囲は動いていない。
そのため、このままではナットが見えてしまう。
時間と共にモザイクの範囲を動かすには、キーフレームの機能を使う
「切り抜き:四角形」フィルタを選択し直し、「位置」と「サイズ」の右にある「ストップウオッチ」アイコンをクリックする。
これで、キーフレームの設定モードになる。

動画を少し進めてナットが切り抜きの範囲からはみ出たら、動画の白枠内の中心にある「●」をドラッグして、ナットにかぶせるようにする。

途中はリニア補間されるので、飛び飛びの位置を指定していけばいい。
設定できたら、再生してモザイクが正しくかかっていることを確認しよう。

この再生処理は重い。
2重に動画を読むし、加工もしているのだ。Full-Spec Hi-Vision動画の場合、このFolio13はギリギリだ。
簡易表示は実際の動画と違うかもしれないので、何度か確認したほうが良い。


モザイク入り動画を生成する

ここまでくれば、shotcutで動画編集をしたことのある人なら、誰でも解るだろう。
左のペインで、「書き出し」タブをクリックし、「ファイルの書き出し」ボタンをクリックする。
ファイルダイアログが表示されるので、適切に名前を入力して、「保存」ボタンをクリックすると、動画の生成が始まる。
右端のジョブの表示のアイコンが緑のチェックマークになったら、動画が完成している。


出来上がった動画がこんな感じ。

元の動画(全体)は、こんな感じ。


Ubuntu18.04で説明したが、Ubuntu20.04でも大した違いはないだろう。
ついでに、shotcutはWindowsでも使えるマルチプラットホームアプリだ(そのせいでビルドが面倒くさい)。
基本が解れば、どのプラットホームでも使えると思う。

簡単な内容だと思って書き始めて、大作になっちゃったな。なんでこうなっちゃうんだろう?
なるべく簡単に書こうとして、あえて細かい部分を省略した。それらを箇条書きで示す。
  • フィルタは数が多いので、目的のフィルタを選ぶのが大変だ。その時のために「お気に入り」機能がある。
  • 切り抜きフィルタは、位置だけではなくサイズ(っていうか形)を変えることもできる。
  • 切り抜きには「切り抜き:四角形」以外もある。
  • キーフレームの修正や削除もできる。
  • キーボードショートカットを覚えれば、作業効率が上がる。

細かな部分については、試しに色々やって、体で覚えるのが良い。
Hi-Vision動画は情報量が多く扱いにくい。この10年選手では、できなくはないが、色々きつい。
5年くらい前のPCなら、M.2スロットがある。Core -i7等を使ったフラグシップ機ならM.2 SSDとの組み合わせて、使いやすい環境を作ることができる(電源がダメになっていなければ)。

履歴:
2021/06/20 全体的に見直した。簡単な事でも文書で書くのは難しい。文才がある人がうらやましい。

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