2021年12月30日木曜日

コンパクトフラッシュ(CF)のピン折れ防止カードリーダ

Compact Flash(以下、"CF"と省略)カードのスロットは、ピン折れの事故が多い。
スロットの遊びが大きく、ずれたり、斜めになったりしながら挿入され、一部のピンが引っかかり、曲がってしまうのだ。
この問題に対する最高の解決策は、CFカードを使わないということだ。

しかしながらどうしても使わなければならない人もいる。
この場合、できる限りまっすぐ挿入されるCFカードリーダを使うべきだ。
というわけで昔から、できるだけ深くしっかり挿さるカードリーダを使ってきた。

しばらく、CFカードを使う機会が無かったので、ずっとUSB 2.0のものを使い続けてきた。
しかし、最近になって、またCFカードを扱わなければならなくなってきた。
最近のCFカードは256GBのものもあり、昔と比べてかなり大容量化が進んだ。
大量のデータを扱うなら、高速なUSB 3.1のものを使うべきだろう。

データ転送速度はカタログに書かれている事も多いが、「ピン折れのしやすさ」はカタログには書かれない。
多少無駄だけど、いくつか良さそうなものを買って、比べてみることにした。
左端は、ELECOM MR-A006BK。以前から使っているUSB 2.0のもの。貼ってあるシールは無視して。
真ん中は、新たに買ったBUFFALO BSCR108U3。
右端は、サンワサプライの ADR-CFU3H。

ELECOMの新しいやつも書いたかったのだが、売り場に無かった。

それぞれのカードの入り具合を見るため、CFカードにマスキングテープを貼って、ボールペンで印を付けていこう。
それにしても、30MBっていつの時代のCFカードだよ。

まずは、BUFFALO。 CF以外にもいろいろなスロットがあるが、同時に使えるのは1つだけ。
CF専用として使うつもりなので、それでも良い。
パッケージのウラ面に、「コンパクトフラッシュのピン折れを防ぐ」と書かれている。

しかし、挿して見るとあまり深くない。
これは多くのカードリーダの中で、浅い部類になる。

次に、サンワサプライ。
蓋がついていてカッチョいいが、CF専用。
BUFFALOよりも深い。
上の写真では、もう一本線がひいてあるが、それはELECOMのものだ。
実は、先にELECOMの方を見ていたので、線が書いてある。

最後にELECOMの古いやつ。
一番深い。
これを買う時も、深いものを選んで買ったのだ。
そのためかなり深い。

新しいものはどれも、これより浅い。
なんだか残念な感じだが、深い事が全てではない。
遊びやガタつきが少なく、安定していることが大事だ。

挿しながら、安定感を見てみた。


なんと、一番浅い BUFFALO BSCR108U3 が一番良かった。
キチキチ過ぎる感じもするが、ピン折れを防止するなら、それくらいじゃないと。
前から使っているのよりも、いい感じがする。

安さや小ささにこだわり過ぎず、安全に使えるものを継続的に作って欲しい。

以下は、なぜいまさらCompactFlashを使っているのかを書いたもの。
わざわざ読まなくても良い。

もう25年ぐらい前、仕事でCFカードにデータを記録する地震観測装置を作った。

20世紀末、リムーバブルメディアといえば、Floppy Diskの独壇場であり、それ以外にはありえない感じだった。
(Floppy Diskに記録するデシカメもあったほどだ)
USB規格は発表されてはいたが、USB I/Fを持つPCがまだ存在していない時代だった。

そんな時、ノートPC用の拡張カードの規格、PCMCIAを小さくしたようなCFが誕生した。
デジカメの普及と共にCFもどんどん普及した。

Floppy Diskよりも容量が大きく、しかも可動部がない。
大量生産され、容量の割には値段も比較的安い(とはいえ、高かったけど)。
地震の記録にぴったりだったので、CFを使った地震観測装置を作った。

それから数年後、Windows98が出たことで、PCでもUSBが使えるようになった。
USB接続のCFカードリーダも様々なメーカから出荷され、デスクトップPCでもそれらリムーバブルメディアが使われるようになった。
千年王国とも思われていたFloppy Diskはみるみるうちに衰退していき、若者からは「なぜ、PCはC:ドライブから始まるんですか?」と質問されるまでになった(A:とB:はFloppy Diskで、昔はHDD(C:)は無かった)。

その頃から、CFで事故が起こるようになった。
USB接続のカードリーダは、価格競争や小型化のために、カードが部分的に入るスロットのものが多い。
そのため、雑に扱うと、カードが斜めに差し込まれ、ピンが折れ曲がるのだ。
昔のCFスロットは、かなりしっかりとした作りで、カード全体がすっぽりと入るようなものも多かった。
(取り出しのための、イジェクトボタンを持つものもあった)
そういう深いスロットなら、差し込まれていくうちに真っ直ぐになり、ピンが折れることは少ない。

自分で作った装置の動作確認のために、CFを読み書きする必要もある。
Flashメモリは寿命のある記録媒体なので、長年使っていれば壊れる。
お客さんから、壊れたメディアからのデータのサルベージを依頼されることもある。
サルベージ依頼したお客さんのCFを壊してしまうのは問題なので、私はできるだけしっかりとしたスロットのカードリーダを使ってきた。
多少遅くても、壊すよりはマシだ。

ピン折れを意識しない人は多い。
職場でも、安いカードリーダでCFを雑に扱い、ピンを曲げる事故が数年に一度発生している。
ピンが曲がるだけならカードにダメージはないが、曲げ伸ばしを何度もやっていると、金属疲労によりピンが破断し、カードの中に残ってしまうことがある。そうなるとピンはまず取り出せず、使えないカードになってしまう。

そんなこともあり、十数年前からは、装置にSDカードを使うようにしていた。
SDカードは、細いピンで接続するわけではないので、雑に扱っても簡単には壊れない。
もう扱うのにヒヤヒヤしないでいい。問題は解決されたかに思っていたが…。

次の装置もSDカード(SDXC)にしようと考えていたのだが、お客さんからの強い要望でCFカードにすることになった。
どうしても使いたくなかったのだが、営業は説得しきれなかったようだ。
悪夢の再来だ。
現場の人間、技官と技術者だけが、精神的な苦労をする。

というわけで、少しでも安全なCFカードリーダを探した。
この記事が、同じような苦労をする人の助けになれば幸いだ。

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