2018年5月6日日曜日

長いズボン、大きな街、深い人情

GWにあちこちに行って、長いズボン(L36)を探した。
普段行かないようなところへも行った。

チェーン展開している紳士服屋は、股下90cm Overがあると聞いたので行ってみた。
そこを探したことは無かったので、今回行ってみたのだが、カジュアルなものはごくわずかで、綿のズボンは無かった。

ユニクロにも行ったが、まったく話にならない。ほとんど全部同じ長さだ。
まれにL34もあるが、これでは短いのだ。腰に当てると、靴の縁に届かない。足首が丸見えで、貧乏くさい。
カッチョ良いイカしたオシャレな若者が着るならそれでも良いが、白髪がごまかせなくなってきたオヤジがそんな格好をしたら、みすぼらしいだけだ。

越谷レイクタウンはアウトレットモールがある。
過去にも何度か行っているが、L36を発見したことはない。
とはいえ、アウトレットは品揃えが一定ではない(であろう)から、幸運な巡り合わせがあるかもしれないと思いつつ行ってみた。
しかし、L34までしか無い。今回もまた運がなかった。

Cocoon Cityのアメリカンイーグルは、あまり期待していなかった。
比較的近所で何度か行っており、そのたびに無いと言われている。しかし、何度も行っていれば、品揃えを見なおしてくれるかもしれないという期待から、時々行くようにしている。
店員が「お客さんなら、L34じゃないと足りませんよ」と言いながら、L34を勧めてきたが腰に当ててみるとやはり短い。L36が無いか聞いたが、いつもの通り無いと言われた。
無いだろうと思っていても、なんだか残念。

横田基地周辺へも行ってみた。
米軍基地周辺なら、大きな服も売られているかもしれないとの期待である。
Levi's の 501がいくつか売られていた。501は伝統的な形状でL36もあり、アメ横で30年ほど前にL38というのも発見したこともある。
股上も深く、はき心地は良い。しかし、前がボタンなのだ。できればジッパーがいい。
ボタンでもしばらく履いていれば慣れてくるのだが...。
値段も高めで、15,000円前後。ジッパーのズボンがまったく手に入らないなら、Levi's 501 なのだが、今回はもう少し探す。

アメ横にも行ってみた。
30年ぐらい前は、よく来ていた。その頃は長いズボンも、それなりに選べた。
過去L38を発見した「アメリカ屋」へ行った。30年前は、奥の方のお店の2階から出してきたような気がする。奥の方のお店の前に行くと、「専務」と呼ばれているおっちゃんがいた。その専務にL36を探しているというと、「最近は作ってないんだよ。L30が普通の長さで、L32が長めなんだ。L34はまれにあるけど、L36は最近は見かけないな。」と答えた。私が「昔はあったのにねぇ…」と残念そうに言うと、専務は「うーん。ちょっと待ってて」と言って、どこかに行ってL36のズボンを持って戻ってきた。
腰に当ててみると、長さバッチリ。前もチャック。まさにこれだと思ったが、W30。最近お腹が出てきて、W32〜34がいい。それを専務につたえると、隣のお店"Jalana(ジャラーナ)"に案内された。
このJalanaでも何回か長いズボンを買っていた。しかし、無いときは無い。
15年ぐらい前に何回か来た時、全然無かったので、もう長いズボンをやめてしまったのだろうと思い込んでいた。
店員が、Levi's の 505の輸入モデル W33/L34を持ってきて、「L34ですが、アメリカンサイズなので、普通よりも長いですよ。試着してみてください。」
2〜30年ぐらい前、"Levi's US505"と呼ばれるモデルを買ったことがある。確かに、あれは良かった。この505もそれかもしれない。
試しに履いてみると、ユニクロのL34より長い。この時に買ったユニクロのL36ズボンと同じぐらいの長さだ。新品なので、最初のうちは洗えば縮むだろうが、はいているうちに伸びる部分もある。
しかも、1本 7,490円。普通の値段だ。同じ物が2本あったので、2本とも買ってきた。
もう生産されていないものだけど、倉庫などに残っているのを集めてきているのだそうだ。一応「また入荷してください」と言っておいた。

Jalanaを出た後で、もう一度アメリカ屋の専務にお礼を言った。
専務いわく「アメ横まで来て手ぶらで返すのはなんだし。」との事だった。アメ横全体、アメ横を頼りにしている人すべてが、いい気分になることを望んでいるようだ。素晴らしいプロ意識。というか、人情味あふれる江戸っ子意識。
こういう人がいてくれるのは、とてもありがたいことだ。

飽食の時代、欲望のまま食べ続け、豚のように肥える。食べきらなかった食料は廃棄される。一方では食べるものがなく飢えている人もいる。
こんな馬鹿げたことをやめようと、合理化意識が出てくる。
それは悪いことではないのだが、長いズボンの入手性が悪くなってしまった。
無駄を省くため、少ししか売れないなら生産しないというスタイルだ。大企業が市場を牛耳ってしまって独占状態になり、そこが売れ筋しか作らなくなれば、我々のような少数派は困ることになる。

江戸時代の頃から百万都市の、メガロポリス東京。参勤交代に始まり、日本全国から様々な人が出入りしてつながり、巨大な都市を形成していった。
アメリカ屋の専務に、東京のもつ歴史的な懐の深さを見たような気がした。

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