2021年2月12日金曜日

切れなくなったハサミの復活

切れなくなったハサミでアルミ箔やアルミ缶を切ると、切れ味が復活するという話、知らない人はほとんどいないだろう。
様々なTV番組で取り上げられてきているし、ネットを検索しても大量に見つかる
十数年来の常識とも言える。

しかしながら、なぜ切れ味が復活するのか?
個人的には、アルミ箔を切ってもほとんど変わらないと感じる。
切れ味が復活したと感じる最大の理由は、おそらく多少汚れが落ちるからだろう。
ハサミは剪断力でものを切る。剪断力を最大にするためには、適切なクリアランスを残してブレード同士がピッタリ重なっている必要がある。
また2枚の刃の隙間が大きければ、剪断力が下がる。ハサミを閉じる時、剪断力を上げるために、ブレード同士が擦れ合うように作られている(そのため、左手で右手用ハサミを使うと、うまく切れない)。

ピッタリ重なっているため、刃が粘着剤で汚れていたりすれば、ブレードの動きが悪くなり、切れ味が悪いと感じる。
その汚れが落ちれば、切れ味が復活したと感じることになるだろう。
アルミ箔を切って、切れ味が復活したと感じるなら、汚れを落とす事を積極的に行うべきだ。
粘着系(セロテープ、ガムテープ、テプラ等)をたくさん切っていれば、粘着剤がブレードに残る。これらが動きを悪くしているので、それを落とすと、動きが軽くなる。

「構成刃先」が形成されて切れ味が復活するなんて言っている人もいるが、構成刃先は金属を切削加工する工作機械の刃での話であり、アルミ箔を10回切ったくらいで、明らかな差が生じるほどの構成刃先が形成されるものではない。

ここまで読んで、「汚れを落とした程度で、切れ味は復活しない!」と考える人もいるだろう。
まさしくそのとおり。切れ味は復活していない。動きが軽くなっているだけだ。
ビニールのような薄いものを切ろうとしてみれば、何も変わっていないと解るだろう。

粘着汚れが無いのに切れ味が悪い場合は、刃の擦れ合う部分が外向きに曲がってしまっている事が多い。
やや極端に示すと、以下の図のような感じだ。
見た目ではわからないだろうが、ブレードを触れば簡単に確認できる。
固いものを無理やり切ると、こうなってしまう。
これでは、剪断力が逃げてしまい、切ることができない。

この状態を改善する簡単な方法は、何か硬いものにこすり付けて、真っ直ぐに曲げ直すのだ。
私はステンレス製のペーパーナイフの背でこすっているが、刃物である必要はまったくない。ドライバでもスパナでも良い。
工具がなければ、包丁の背はもちろん、スプーンでもいい。
持ちやすくて、鉄のように固くて、多少傷がついても良いものなら何でも良い。

とにかく、外側に曲がっていてはだめだ。真っ直ぐに直すのだ。
「シュッ、シュッ」と数回こすると、回復する。

(2021/02/12 20:00 動画を追加した)

ハサミを開け閉めすると、「ゾリゾリ」感が強くなっていることがかわる。いかにも切れそうだ。
試しにビニールでも切ってみれば、明らかな改善を感じるだろう。

それでも、切れ味が悪い場合は、研ぐしか無い。しかし、研ぐ前に刃に力をかけて、わずかでも内向きに曲げておけば、研ぐ量を減らすことができるので、こすっておくのは無駄にならない。

「シュッ、シュッ」はアルミ箔も無駄にしない。こすってみよう。

2021/02/13 追記 「砥ぐ」を「研ぐ」に直した。日本語は難しい…

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